葬儀マナー
お葬式に参列する際に、身内を亡くされて心を痛まれているご遺族であるご家族・ご親類の方々に失礼のないよう、大人のマナーとして最低限知っておかないといけない、知っておかないと恥ずかしい、心得や作法などを、知識の確認の意味も兼ねて解説いたしますのでご参考ください。(※地域により違いがあります)
●水引について
「水引き」とは進物の包装に結ぶ飾り用の紙製の糸のこと。
弔事では「結び切り」のもので、色は黒白・双銀・双白などが一般的で多く使われます。
「結び切り」は、一度結んだらほどけない結び方なので、
●上包みの表書きについて
“悲しみの涙で、墨が薄れる”という意味合いがあって薄墨で書きます。
毛筆で書くのが礼儀ですが、筆ペンやサインペンでもかまいません。表書き(御霊前など)よりもやや小さめに氏名を書きます。
「御霊前」が、全ての宗教・宗派の葬儀で使用可能とされているので、事前に宗教がわからず不安な時は御霊前としておけば問題ありません。
ちなみに「御仏前」というのは葬儀では使いません。御仏前は四十九日の法要から使う表書きです。(※浄土真宗では葬儀でも「御仏前」にします)
仏式 | 御霊前・御香典・御香料 |
仏式(浄土真宗) | 御霊前・御香料 |
神式 | 御霊前・御玉串料・御神前 |
キリスト式 | 御霊前・御香料・御花料 |
無宗教式 | 御霊前 |
- [1名の場合]短冊の中央に書きます。
- [連名の場合(2名以上)]年長順に右から書きます。
- [連名の場合(3名以上)]社名は氏名よりやや小さめに書き、次に代表者の氏名を書きます。
- [社名が入る場合]右に代表者の氏名を書き、左側に「外一同」と書き添えます。そして別紙に全員の氏名を年長の順に右から左に並べて書き、中袋に入れます。
●中袋の書き方・お札の入れ方について
中袋も上包みの短冊と同様、悲しみの涙で墨が薄れる、として薄墨で書きます。表側には何も書かず、裏側の右側に旧漢数字で金額を書き、左側に郵便番号・住所・氏名を省略せずに書きましょう。葬儀後も続く忙しい喪家のためにも整理・管理のしやすさに配慮をしましょう。
旧漢数字と書き方例 | ||
一 → 壱 | 八 → 八 | 3,000円 → 金参阡円 |
二 → 弐 | 十 → 拾 | 5,000円 → 金伍阡円 |
三 → 参 | 百 → 佰 | 10,000円 → 金壱萬円 |
五 → 伍 | 千 → 阡 | 30,000円 → 金参萬円 |
六 → 六 | 万 → 萬 | 100,000円 → 金拾萬円 |
七 → 七 | 円 → 円 | 1,000,000円 → 金佰萬円 |
旧漢数字と書き方例
- 一 → 壱
- 二 → 弐
- 三 → 参
- 五 → 伍
- 六 → 六
- 七 → 七
- 八 → 八
- 十 → 拾
- 百 → 佰
- 千 → 阡
- 万 → 萬
- 円 → 円
- 3,000円 → 金参阡円
- 5,000円 → 金伍阡円
- 10,000円 → 金壱萬円
- 30,000円 → 金参萬円
- 100,000円 → 金拾萬円
- 1,000,000円 → 金佰萬円
※死や苦を連想させる4や9の金額は避けましょう。
※「円」は「圓」も可。頭に「金」を添えて。最後に「也」は不要。
あなたがご遺族と面識がない場合もあります。故人とはお仕事関係のお付き合いであるような時などは、不祝儀袋を管理・整理する喪家の方が「故人とどんな関係だったか」が分かりやすいように、名前の右側に会社名を入れましょう。
●上包みの裏の合わせ方について
葬儀などの弔事では上の折り返しが手前になるように重ねます。
ちなみに結婚式などの慶事は下の折り返しが手前になるようにします。「幸せは上向き」「悲しみは下向き」という覚え方をしておきましょう。
通夜・葬式
の装い
通夜・葬式の装い
男女ともに喪服を着用。ただし、お通夜など急な場合は地味な平服でも。その場合は光るものや飾りは外し、革製品や毛等も殺生をイメージするので避けましょう。男性は黒色の無地のタイを、女性もメイクを薄くし、派手な光るアクセサリー類は外しましょう。
<男性> ブラックスーツでネクタイは黒無地。タイピンやカフスなどは外し、黒の靴下・靴が好ましいです
<女性> 立ったり座ったりすることが多いので黒無地・膝下丈のフレアのワンピースが好ましいです。アクセサリーは、悲しみの涙を意味するパールの一連のネックレスなら良いでしょう。髪はすっきりとまとめ、メイクも派手にならないよう注意しましょう。ストッキングは黒を、靴やカバンも金具の付いていない布地のものが好ましいです。お通夜の場合は黒のワンピースやツーピース、パンツスーツなどが好ましいですが、急な場合はグレーや紺色などダークカラーのものでも。
焼香の作法
焼香の形式には立礼焼香や座礼焼香などがあり、お香の種類も抹香と線香などがあります。回数も宗教や宗派によって多少異なりますが通常は2~3回。会葬者が多い場合は、1回の場合もあるので臨機応変に対応するのが良いでしょう。焼香の際、数珠は腰よりも上の位置で持ち、短いものは左手にかけたり、合わせた両手にかけます。長いものは二重に巻いて短いものと同じように持ちましょう。
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霊前の祭壇少し手前で、僧侶と遺族に一礼します。
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祭壇の前で両手に数珠をかけ、遺影に一礼し、合掌します。
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右手の親指、人さし指、中指で抹香をひとつまみつまんで、顔の前で想いを込め、横の香炉へ静かに落としくべます。これを2~3回行います。
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最後に再度数珠を両手にかけ、合掌・礼拝したら、2歩後退し、一礼をして下がります。
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祭壇前から下がった後、僧侶・遺族に一礼して、自分の席に戻ります。
玉串奉奠
献花の
作法
玉串奉奠献花の作法
仏教で焼香を行うように、神式では「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」、キリスト教では「献花」が行われます。玉串奉奠は神官から渡される「玉串」と呼ぶ榊(さかき)の枝を霊前に供えます。キリスト教はカーネーションなど茎が長く白い花を献花台に置きます。それぞれに作法があるので覚えておくと良いでしょう。
●玉串奉奠の仕方
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神官から渡された玉串を受け取って一礼します。この際、右手が根元、左手に葉が来るように持ちます。そのまま祭壇に進み、玉串を持ち上げて一礼します。玉串の根元が自分の方に来るように右へ90度回し、次に左手を枝の方に右手を葉に持ち替えて、さらに右へ180度(計270度)回します。
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玉串の根元を霊前に向けて供えます。その後、二礼・二拍手(音は立てず忍び手で)をし、一礼すします。最後に神官と遺族に一礼してから下がります。
●献花の仕方
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花を右に、茎が左に来るように受け取ります。その後、献花台の前で一礼をし、花が手前に来るように右に90度回します。
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茎が霊前に向くよう、下から添えるように持った花を献花台へ供えます。そして遺影に一礼または黙祷をし、牧師または神父(キリスト教の場合)と遺族に一礼して下がります。