知っ得コラム
2016.7.7仏教の人生観
仏教は、人生観を見直すうえで、今、何をすべきかに重点をおきます。仏教では、過去 現在 未来の三世のバランスから人生が作られ心の状態も形成されると説きます。過去が現在を創り、現在が未来を創るとよく言われます。
当たり前のことのようですが、これをよくかみ砕いて考えますと過去は今現在の一瞬一瞬が次々と過去になっていきますから、今をおろそかにしていると過去はさみし思い出しか残りません。未来に起こるべきことは、今現在の一瞬一瞬が未来を創るわけですから、今をおろそかにしていますと未来もまた開かれなくなってしまうわけです。
つまり、過去 現在 未来の三世のバランスはすべて現在にあると説くのが仏教の人生観なのです。
あの時こうしておけばよかった、あれが無ければ今の自分はもっと良かった。と、過去ばかりにとらわれていますと活力を失い心は失望感に苛まれバランスを崩してしまいます。逆に、将来の自分はどうなっているだろうか?出世できるだろうか?試験に合格するだろうか?医者になれるだろうか?うまくプレーできるだろうか?等、未来に起こるべきことを心配しすぎると、心は不安に脅かされバランスを失います。
人生を大海に浮かぶ船に例え、船の船首を未来、中央のブリッジを現在、船尾を過去としますとわかりやすいかもしれません。船はブリッジですべて操作され、操作次第で船の行く先は変化します。一つとして同じ海路はありませんし、風にも負けず、嵐を乗り越え、波にのまれず進み目的地まで到着させるのはブリッジにかかっているのです。人生で、同じ道を歩むことは家族でもありませんし、時にやってくる苦難を乗り越えるために手助けはいただいても、結局乗り越えるのは自分次第と言うことになるのです。
つまり、ブリッジにいる自分が今、何をすべきかを考え、今自分はこの仕事をしているからとにかく仕事を頑張る。勉強を頑張る。遊びを頑張る。運動を頑張る。練習を頑張る。等々、今すべきことに集中することが心を安定させ未来を切り開き過去に感謝できる人生を歩めるのだというのが仏教の人生観なのです。どうか、それぞれの目的に向かって、夢に向かって、そして究極は老いて死ぬ人生の結末に向かって今何をすべきかを考える事こそ人生観を見直すヒントになるのではないでしょうか。ありがたい。すばらしい。